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オーディオの遍歴
第18章 きっと、いつか、質の時代へ…

第17章
ゲシュタルト崩壊の新オーディオ・フォーマット

2004/06/14
2005/09/22

2005/09/22
朝日新聞によると、SONYは同日に発表した新経営計画で、QUALIAの開発停止を発表しました。報道によると「究極の技術や高級感を追求してソニーブランドの復権を狙ったが、効果は表れていない。」、「旧経営陣の多角化路線を修正」したのだそうです。

失われた最高技術水準の復活とは、かくも難しいということですね。
SONYは、普及品、大量生産の道を邁進するしかないようですね…
経営としては、そうした展開は避けられないでしょうが、そこをやり繰りするのも経営なんですけど・・・

いつか、きっと、質の時代へ…行くことは間違いありませんが、SONYは、そこにはちょっと遅れことになりそうです。ご愁傷様…サムソンに頼った薄型テレビ(fパネル製造会社は1株だけサムソンが多いという漫画チクッな会社、子供が友達同士で出資したみたい)とAIBookんばってください…これらもいずれやめるのかな…

01 なんで高価なオーディオ製品を買うの・・・

ときどき、なんで高価なオーディオ製品を買うのかというご質問を戴く事があります。
それはそうだろうと思います。だって、今の時代は、2万円位でもステレオを買うことが出来るのに、私ときたらCDプレーヤー1台が自動車を買えるくらいの価格のものを利用しています。ですから、同じ趣味をお持ちでない方が、それを不思議に感じられることがあるのは、そうだろうとも思います。

このご質問に対するお答えは、実は簡単なんです。

「そうする価値を知るチャンスがあったからですよ。音楽を自宅にいながらにして素晴らしく楽しむことと、音の素晴らしさを知るチャンスがあって、だからこそオーディオの価値を認めるなら、だれだってそうすると思いますよ。今の時代、自動車を買う人は多いでしょ・・・その価値を認めてるからです。それと同じです。見方によっては自動車よりもいいんですよ。例えば、東京に住んでいると、自動車は不要でしょ。持っていても月に数回しか乗らないし。それなら、毎日使えるオーディオ機器のほうが、いいって思うこともあるんですよ」

つまり、買う価値を認めるから買うということです・・・。
なんて、まあ、当たり前のお答えですこと・・・(^^;
オーディオの本質とは、その製品がもたらす、再生する音楽の質の高さによる、自身の気持ちの満足という、主観的なものです。

そうした話題を真っ向から取り扱ったコンテンツが、感動させる音などない・・・でも、意味を明らかにする音はある・・・ 15.03 音楽の本質編です。あんまり人気のあるコンテンツではありませんが、哲学的/意味論的に、なぜ人は音楽を愛しうるのか、オーディオを楽しみうるのかを説明しています。

ですから、そうした気持ちを抱くチャンスがあり、自分のものとするならば、だれだってオーディオの趣味を出来ると、私は思うのです。自動車に価値を認めるのと、そう違いはないと思います。
では、そんな私は、どんな時にオーディオ製品を買うのでしょうか・・・。
素直なところ、オーディオ製品をいつも買いたいと思っているものではありません・・・というか、普段は興味も持っていません。ですから、月刊や季刊のオーディオ雑誌を読むこともなく、ここ十年くらいは、そうした雑誌などは買ったこともありません。製品の宣伝とかみても、興味がないのですから、広告が主体になっている雑誌を読まないのは致し方ないわけです。まあ、全く見ないわけではなく、数ヶ月に一度寄るオーディオショップで、出してもらったコーヒーなんかを飲みながら、新製品をちょっとだけ試しに聴く合間に、ちょっとパラパラとめくることはあります。

これを書いていて、自宅の本棚を見たのですが、
オーディオの本がほとんどありませんでした・・・
まったく読んでいないJASジャーナルくらい
あはは・・・(^^;

それでも、新しい情報はどんどん入ってきます。ハイエンド製品のお店の店頭に行けば、試作機とか、ユーザーの声を聴きたいという新製品が、各メーカーから届いていたりします。そんな場に居合わせると、いろいろな話が聴けてしまいます。ものによっては、雑誌に載る半年も前から、そうした製品を知ることになります。
私自身も、オーディオシステムをフルデジタルにしたのは、2000年、ほとんどの人がフル・デジタル・システムを知らない時代でしたので、早いほうではないかと思います。なんでそうした情報が入り、テストできたのか・・・コンテンツでも説明していますが、ちょっとしたきっかけが、そのタイミングを作り出しています。
もっとも、情報が早くても、それは買いたい理由にはなりません。なにしろ、普段から買いたいと思っているわけではないからです。
では、どんな時に買いたくなるのでしょうか・・・
経験的にですが、それは2つあるようです。

私が、オーディオシステムをフル・デジタルにしたのは、前者のチャンスがあったからです。
で、後者が理由で、新製品が出ると直ぐに買うことが多いものがあります・・・モバイル・オーディオです。
「オーディオの遍歴」で度々登場するモバイル・オーディオですが、いろいろな機種を試しては、気に入って使ったり、こりゃダメだと、古い機種を続けて使用したりしています。使用しているヘッドホンも、いくつも使い潰して、買い換えています。モバイル機器は、使い方が荒くなるので、壊れやすく、消耗品的な性格を持つのですね。
モバイル機器は、工業生産品の性格が近く、作りっぱなしであるような印象があり、どうも完成度について気になります。で、どの機種も、「これぞ」という感じがしないのでした。
で、今回のオーディオの遍歴は、モバイル機器を何気なしに購入したことをご紹介しながら、そんな私が、フッとものを買うときにめぐらす思いを、そのままご紹介しながら、今の時代の側面と、その先にあるものを、感じていただこうかと思います。

02 きっかけは、やっぱりオーディオショップにて・・・

それは、2004/06/09でした。
ちょっと時間が出来たので、DVDを買いに秋葉原に寄りました。インターネットで見ていると、DVDやCDなどのソフトには、買うものに偏りが出るので、店頭で何気なしにいろいろと見て買うのが、好きだったりします。また、この日は、買いそびれていたポリスアカデミーのボックスセットも欲しいと思っていました。結局、それは、秋葉原は売り切れで、後日にヨドバシカメラで購入しましたけど・・・。
その帰りに、オーディオショップであるサウンドクリエイトに顔を出しました。ちょうど、オーディオの本の出版でもしようかという話も進んでいましたので、いろいろと相談もしようかと思っていました。

オーディオの本は、今の予定ですと、2004/11〜2005/01の間に、技術評論社から出ることになります。オーディオ書は、書店の棚が雑誌コーナーだけなので、結局は、雑誌として出版することになります。雑誌と一般本の違いは、書店に置かれる期限が90日となってるか否かで、雑誌は最長で90日だけです。内容については出版社と打ち合わせ中です。詳細が決まれば、かるばどすほふでもお知らせいたします。余談になりますが、私がちっともコンピューターの本を書かないので、出版社からオーディオでもいいですよといわれて、1年近く考えて書くことにしたのでした・・・(^^;

サウンドクリエイトは、フロア数も増えて、いつも忙しくしています。
お店では、いろいろな話をしていました。
なにしろ、相手は専門家なのですから、いろいろな話題を教えてもらえます。
そんな中で、こんな話が出てきました。

「SONYのQUALIAのプロジェクターが評判いいんですよ。ただ、販売も設置もSONYがやるんですけど、経験が少ないみたいで、天井が高すぎて設置できないとか、いろいろな話題がでるみたいですねー。」
「そーなんですか。どこで見れるんですかねー」
「SONYビルにショールームがあるそうですよ」

かるばどすの豆知識
SONY QUALIAは直売システム

SONY QUALIAシリーズは、2004/6現在、デモ/販売/設置は、すべてSONYにより行われています。ショールーム/ショップは、東京/大阪のSONYビル内にある、QUALIA東京/大阪です。購入後は、SONYのサポートを担当するコンシェルジュが設置を行ってくれるそうです。

QUALIAという名前が、気になるもので、ちょっと意識にあるシリーズでした。
かるばどすほふでも、ちょっとだけQUALIA 007については触れている話題があります。あんまりいい紹介の仕方ではない気もしますが、興味ある製品でもあり、ご紹介したのでした。
で、思い立つと直ぐに実行するタイプなので、サウンドクリエイトの帰りに銀座SONYビルに寄りました。しかし、時間は19時ちょっと前、ショールームは終わりなのだそうです・・・(^^;
銀座のデパートも21時まで営業している時代に、ショールームを早く閉めてどうするんだ・・・(^^;
お客さんに見てもらうのが仕事だろうに・・・と、その場では、思いました・・・(^^;
そこで、この日は真っ直ぐに、自宅へ帰りました。
自宅で、SONY QUALIAのサイトを見ていたら、QUALIA 007だけではなく、いろいろな製品が出ていました。お店で教えてもらったプロジェクターには、あまり興味がなかったのですが、気を引いた製品がありました。QUALIA 017、MDです。俄然、興味が出ました。すでにご説明したように、モバイルについては、あまり満足することがなく、いつも興味があるからです。
で、翌日に時間を作って、寄ってみようと思いました。

SONY QUALIA
QUALIA 007
SACDとデジタルパワーアンプが一体になった製品
QUALIA 017
月産15台というMD
03 クオリア(QUALIA)という言葉・・・
Wilberの本
Ken Wilber : THE EYE OF SPIRIT
SHAMBHALA
ISBN 1-57062-871-8
Ken Wilber現代の代表的な思想家

実は、SONYのQUALIAという製品群については、ちょっと興味がありました。
それは、この言葉そのものが持つ意味からです。
SONY QUALIAのサイトを見れば、クオリア(QUALIA)という言葉の意味を説明してますが、ここでは人の書いた本から、その意味を別な視点から、ご説明しましょう。
Ken Wilber : THE EYE OF SPIRIT Page4から引用します。

「主観的で内的な世界は、様々な名前で知られている。意識(consciousness)、気付き(awareness)、心(mind)、プシケ(psyche)、クオリア(QUALIA)、イデア/イデー(idea)、唯心論(idealism)・・・」

邦訳がないので私が訳しました

この文章は、Wilberが内的な世界と外的な世界がともに存在していることを説明しているものの一部です。これに続いて外的な世界をいろいろな名称で説明していますが、全体をご紹介すると本論から外れるので、途中までを、引用しました。
ここでWilberが語るように、クオリア(QUALIA)とは、内的な、主観的な「質」を示す言葉です。現代における、インテグラル・セオリー・ムーブメントといわれる、主観的な質の復権の中で、生み出された言葉だったのでした。
この言葉を、製品に与えるということの意味は、深いものがあります。
クオリア(QUALIA)とは、一言で述べれば、質そのもの、本質ということです。
そして、この名を付与された製品群がSONYのQUALIAシリーズなのです。
だものですから、私は「すごい名前をつけちゃったもんだ」と思ったのでした。そして、そのネーミングから興味を抱いたのでした。ただ、マーケッターの思いつきに過ぎないのかもとも、思っていました。だって、いくら今の時代であるからと言っても、クオリア(QUALIA)の意味を理解して、標榜して、実行する大会社があるとは、思っていなかったのでした。
しかし、オーディオの世界というのは、実際のところ、クオリア(QUALIA)の世界です。
オーディオの世界では、あらゆるテクノロジーは、つまり客観的なものは、音楽の質、つまり主観的なものを達成するために存在し、駆使されます。ですから、主役は、主観であり、あらゆるテクノロジーは、そのためにあります。つまり、テクノロジーという客観的なものを、質を感じるという主観的な心が支配する世界、それがオーディオです。
余談ですが、そのことを忘れてしまった日本のオーディオ業界は、量産により売り上げを実現することにだけ腐心してしまい、その結果、高水準な製品を生み出す力を失ってしまいました。つまり、心を忘れてしまったのです。オーディオの本道を、外れてしまったのでした。
その結果、海外の小さな会社が開発する製品に、至高の位置を明け渡しています。つまり、現代の日本のオーディオ製品の多くには、一番大切なはずの、クオリア(QUALIA)が失われているという問題があるのです。
そんな時代に、SONYはQUALIAという名前の製品群を提供するというのですから、興味が無いはずはないのでした。

04 QUALIA東京にて・・・part1

翌日です。
実は、大メーカーのショールームに行くなんて、何年ぶりだかわかりません。
なにしろ、ハイエンド・オーディオの製品は、自宅での試聴が基本であり、店頭では何気なしに見る程度のものです。たいていは、オーディオショップに電話するか、店頭に行って、「こんど持ってきてよ」と話して、自宅で数日使用して評価します。そうしないと、製品の質が判断できないからです。
でも、SONYのQUALIAはショールームを予約するシステムになっていました。
まあ、最善のデモ環境を用意しているなら、それも悪くありません。
次善の手段ですが、高級品であれば、よくあることです。
ただ、私は面倒くさがりなので、直接押しかけて聴かせてよ・・・と、やってしまう癖があのます。だからこそ、昨日にSONYビルに顔を出したわけです。しかし、webサイトで見ると予約するようなシステムみたいなので、電話して予約することにしました。電話は、11時を過ぎないと通じないので、そこも大メーカーですねー。

「はい、QUALIAコールカウンターです」
「SACDとMDの試聴の予約をお願いします、今日なんですが、これからどうでしょうか?」
「・・・はい、午後1時からでしたら、お受けできます」
「えー、今はだめですか?」
「はい、予約が入っておりまして」
「そうですか、しょうがないですね」

だいたい、私は、思い立ったらすぐというタイプなので、数時間というのも待つのが面倒です。ですから、しようがないなーと思ってしまうのでした。

「あ、お待ちください、スケジュールを確認したところ、11:30から大丈夫です」
「そうですか、じゃあ、これから行きます」
「担当に連絡しておきます」
「よろしく」

なんか、電話の雰囲気では、電話口の人が、ちょっと焦っていような・・・単刀直入にいきなり予約したから、会話のリズムを外したのでしょうか・・・(^^;
私の家から銀座のSONYビルまで、電車の時間と歩く時間を入れても30分かかりません。
で、急いで試聴用のCDとMDを用意して、耳慣らしのためにMDを聴きながらSONYビルに向かいしました。ただ、用意するのにちょっと手間どったので、少し予約した時間より遅れました。
ホームページを見ていると、担当コンシェルジュがデモをするような感じ(案内するという表現ですけど・・・)で書いてありました。私は、お仕着せのデモとか見ていると飽きるタイプなので、それは断って、自分の持っていたったソフトを聞かせてもらおうと思っていました。

銀座SONYビル

ショールーム/ショップであるQUALIA東京は、SONYビルの4fにありました。SONYビルは、ずいぶん昔に訪れただけなのですが、今は、あまり製品のショールームという性格はないみたいですね。いろいろなショップが入っていていました。なんか、コストセンターであってはいけないと、内部でいわれているのかなーと思いました。昔は、たくさんの製品が直接に使えるようになっていたんですけどねー。
QUALIA東京のフロアには、レストランもあるみたいで・・・エレベーターを降りるときは、おばさんたちと一緒でした・・・(^^;・・・QUALIA東京は、思ったよりも小さいので、ちょっと驚きました。
受付に行くと、数人の女性がいました。
コンシェルジュというのだそうです。
で、QUALIA 007のデモが行われる試聴室に、コンシェルジュの若い女性に案内されました。
入り口は、リモコンで開くガラス製のオートドア、凝っていますねー。
ちょっとショーアップされています。
試聴室は長方形の部屋で、奥行き5mくらい、幅は2.5mくらいでしょうか、勘ですが・・・。細長い部屋でした。
その短辺である奥にQUALIA 007とスピーカーが設置されていました。シングル・システム・デモンストレーション、つまり1システムだけ設置する試聴方式で、高級システムの基本的な試聴方式です。このやり方でないと、装置間、とくに使用していないスピーカーが原因となる音質変化が発生してしまうので、試聴が困った結果になりやすくなります。ですから、贅沢であるようでありながら、実は必要なやり方です。
ただ、ちょっと設置が気になりました。
部屋の端にシステムを設置して、リスニングポイントは部屋の中心でした。このリスニングポイントは、なぜか、長辺の壁に設置されている、2対づつの高級な吸音材の間に露出している壁の間にあわせて椅子があります。この位置と配置が、定石破りで、不思議でした。

KIMBER 4TC

使用しているスピーカーケーブルは、KIMBER 4TC、この価格の製品からすると、ちょっとチープですが、悪い選択ではないと思いました。ただ、バイワイヤリングを前提に設計されているスピーカーなのに、スピーカーケーブルはシングル接続で、ショートピンを使用する接続でした。違和感がありました。
ここからは、コンシェルジュの人との会話と、私が心の中で思ったことを併記していこうかと思います。もっとも、記録していたわけではないので、記憶違いがあるかもしれませんけど・・・(^^;
心の中で思ったことは、で書きます。

「試聴用のCDはお持ちいただけましたか?聴きなれているもので試されたほうがよくお分かりいただると思います」
「へー、ちゃんとわかっているんだ、たいしたもんだなー」
「はい、持ってきました、早速いいですか?、あ、ヘッドホンもあるんですねー」

ヘッドホンは、QUALIA 010といいます

「はい、今日届いたものなんです。音決めで、開発に時間がかかりました。実は、オープン前に聴いていたんです。開発中の試作機はあったのですが、かなり良くなったと思います。ぜひ、お試しください。お客様で聞かれるのは、初めてになります」
「りっぱなもんだー、ちゃんと自分で聴いているんだー、それにこの応対、若いみたいだけど、しっかりしている・・・SONYにも人材がいるなー」
「ありがとう」

試聴のCD 1枚目
WARRIOR PRONCESS
ORIGINAL TELEVISION SOUNDTRACK

で、CDをセットしました。
1枚目は、XENAでした。
アメリカのテレビ・ドラマであったヒロイック・ファンタジーのサウンド・トラックですが、日本のドラマとは比較にならないしっかりした作りの作品です。その音楽は、東欧的な壮大なもので、初めて聞く人はびっくりします。また、録音/ミックスもすばらしく、10年前のアルバムですが、素晴らしいアルバムです。
用意されていたリスニングポイントで聴いたのですが、ちょっとリモコンが不調で、本体のプレイボタンで再生を始めました。
音を聴きながら、ちょっと思いました。

「この音、ちょっと違うなー、中低域が不足しているし・・・リスニングポイントの問題かもしれないし、設置もなー・・・でも、もうちょっと耳を馴らさないと判断できないなー・・・」
「凄いですねー、初めてです。心に響きます。なんていうアルバムですか」
「えっ、そう話せるの・・・凄い子だな、普通ならカッコつけて黙っているジャン」
「これは、XENAっていうアメリカのテレビ番組のサントラなんですよ」
「良かったらメモさせて頂いていいですか?」
「えっ、そう来る・・・立派だな、普通、それは言わないでしょ、学ぶことを知っているんだ・・・」
「どうぞ。日本では発売されていないですけど、Amazonなんかであれば買えますよ。アルバムは6枚出てますけど、これは初めのものです。アメリカって凄いですよね、テレビドラマで、こんな音楽作っちゃうんですから」

彼女の対応には、ちょっと驚きました。
オーディオ・ショップであれば有り得る対応ですが、ここはSONYのショールームのはず・・・立派過ぎます。
で、そうした対応をしてくれているので、こちらも気が許せると感じ始めました。
私は、それほど長い時間、試聴で聴く習慣がありません。長くても、だいたい、2〜3分です。

試聴のCD 2枚目
CONAN THE DESTROYER
ORIGINAL SOUNDTRACK

次のCDをかけました。
似たタイプの音楽ですが、CONAN THE DESTROYERです。
イタリアで録音されたこのアルバム、20年も前のものですが、ファンタジーとはどのようなものなのかを、音楽で明らかにしたような幻想的なミックスでありながら、明晰な音の存在と、音楽のインパクト、これもいいアルバムで、好きなものです。

「やっぱり、音の傾向がおんなじだなー」
「これも凄くいいアルバムですねー」
「でしょう・・・これも、日本では発売されていないですけどねー、これです、ジャケットは・・・シュワルツネッガーの主演したコンナ・ザ・デストロイヤーです。なんか、映画音楽も悪くないでしょ」
「素敵ですねー」
「音楽の楽しさのわかる子だなー。普通なら、映画音楽というだけで馬鹿にするもんだがなー」
「音楽って楽しいですよね」
「ええ」
「こういう子がいるなら、QUALIAを説明するコンシェルジュとして正しいな・・・音楽を楽しめることが、すべての始まりなのだから・・・」

試聴のCD 3枚目
Quelle Voix
(自らの訳詞で歌うレオフェレ ChAnte Leo Ferre)

続いて、かけたのは、全く違うアルバムです。
若林圭子Quelle Voixです。このアルバムは、帯域の狭い、ある意味では質の悪いプライベートアルバムです。しかし、その意味とは、特性的なことだけで、若林圭子の声の力が捉えられている、本質的な名アルバムなんです。凄いインパクトがあります。

「この音、ちょっと声が弱くなってしまうな・・・力が無い・・・やっぱり再生がうまくいっていない・・・」
「これも凄いですね、初めて聴きます」
「これは、シャンソンです。歌っている人は、若林さんといって、レオフェレを歌うことでは、今では世界的に有名な人です。このアルバムは、一番初めに作られたプライベートアルバムなので、もう手に入らないです。昔、にんじんクラブというお店があって、そこで彼女が歌っているときに、買わせてもらったプライベートアルバムなんです。声の力が、伝わるでしょ。特性はたいしたこと無いアルバムですけど」
「声の力・・・」
「ええ、若林さんがそう言ったので、覚えた言葉なんですけど、こうした歌を聴くと感じるでしょ」
「いやー、まっすぐな感受性のある子だな・・・SONYには、そうした人材がいるんだ・・・」

試聴のCD 4枚目
浜崎あゆみ ドイツDrizzlyというかWarner盤
Connected

だいたい、問題点がわかってきたので、ダメ押しで、もう一枚かけることにしました。
浜崎あゆみのドイツ盤、Connectedです。ヨーロッパ、それもテクノ/トランスの本場であるドイツでマスタリングされたこのアルバムは、Ferry Corstenの音楽を、そのままに、ヨーロッパの音で、届けてくれます。

「やっぱり、この音はバランスが崩れすぎてる・・・設置を全部直さないと、機械の音は評価の仕方が無いな」
「これは、あゆですね・・・初めて聴きます」
「これは、ドイツ盤です」
「え・・・ドイツですか・・・」
「あゆは、ドイツで結構出てるんですよ、この曲はFerry Corstenがあゆのためにと申し出て作曲したんです。あんまり人気のある曲ではないですけど、私は好きです」
「日本では売っていないんですか?」
「このアルバムは、新星堂なんかなら、輸入して売っていると思いますよ、あと、この先頭の曲なら、I am ...にも収録されています。違いは、I am ...がHDCDで、このアルバムは通常のCDということです。」

この後、浜崎あゆみのI am ...から数曲を聞きました。

「あゆはいいですよね、カラオケでも歌っちゃいます」
「あゆが好きな人に、悪い人はいないのだ!、なんて立派な子だ!」
「いいですよねー・・・ところで、ちょっと設置をいじってもいいですか?」

「はい、ご納得いただけるようにどうぞ、これまで、聴かれて如何ですか?」
「え、いじってもいいんだ・・・立派ジャン・・たいしたもんだ」
「うーん、ちょっとわからないんですよ、設置を直して聴いてみないと・・・」
「はい、どうぞ・・・私たちがいろいろと変えながらしているものですから・・・」
「やっぱりそうなんだ・・・設計者達の設置とは違う気がするしなー」

私の使用しているスピーカー

ESP Consert Grand

で、設置状態をチェックし始めました。
その際に、いろいろと話しかけられました。

「ご自宅ではどのようなシステムで聞かれていらっしゃいますか?」
「えーと、どのようにご説明したらいいですか?」
「スピーカーはなにをお使いですか?」
「ESPというメーカーのコンサート・グランドです」
「ESP?」
「ええ。私のスピーカーは世界で20セットくらいしか作られていません」
「ええっ!!!」

しっかりとメモを取っています。

私の使用しているアンプ

TacT M2150

TacT S2150

私は、対応がしっかりしているので、素直に話そうと思っていました。

「なるほど、立派だな、顧客プロファイルをちゃんと取っている」
「アンプはTacTというメーカーの2150という機械を2台使用しています。バイアンプです」
「え、TacTですか!」
「びっくりしたな、TacTなんて普通知らないでしょ・・・ちゃんとした教育が開発者から行われてるな・・・そういえば、TacTがミレニアムを出したときに、やられたと悔しがっていたのは、SONYの技術者だったと、今は亡き朝沼先生が言っていたなー」
「TacTをご存知ですか?、世界で初めてフル・デジタル・アンプを開発した会社です。」

後日ですが、雑誌を読んでいたら、あるオーディオ評論家が世界で初めてのデジタルアンプはSONYのDクラスアンプと書いていました。PWM変換を三角波をベースにアナログ的に制御していてデジタルアンプとは噴飯もので、呆れてしまいました。PWM変換なんて、昔から知られているし、サーボ回路では古くからあります。それを、デジタル制御という人はいません。PWM変換はデジタルアンプの出力段の考え方であり、本質的な違いがあります。技術的に、まぜこぜにしないで戴きたいですね・・・。完全にデジタル処理していて、正確な制御をしていて、初めてちゃんとしたデジタルアンプです。

2004/06/27

「では、もうご自宅はフル・デジタルなんですね?」
「ええ、5年前にTacTがミレニアムを出したときから・・・今使用している2150はTacTの第三世代フルデジタルアンプです。率直なところ、単体で見れば世界で最も進んでいるかもしれないですね。でも、よくTacTをご存知ですね」
「はい・・・あと、Linnとか、凄いCDを出しているそうですね」
「Linnは私のCDプレーヤーのメーカーです、1台で自動車が買えちゃいますよ」
「凄いですね・・・」
「システムの価格は、かなり行くので、QUALIAの比ではないです・・・今日は、特にMDに興味がありました。でも、このシステムもいけるかもしれないですね・・・ところでMDは良かったら買って行こうかと思います。在庫はありますか?」
「すいません、受注生産です。1ヶ月ほどお待ちいただく事になります」
「なるほど」

音を聴きながら、さらに、いろいろと設置を直しはじめました。
まず、電源コンセントです。QUALIA 007の電源ケーブルは、アースなしのタイプですが、3箇所に用意されている壁コンセントはすべてアース付きでした。

「すいません、電源コンセント、取る場所を変えてもいいですか?」
「はい、どうぞ・・・でも、なぜですか?」
「あと、電源には、極性もあります。で、この音、ちょっと極性も合ってない気がするんです、やってみないとわかんないけど」
「え・・・そういうものなんですか・・・」
「そうだろうなー、極性が関係ないと信じて開発された製品だって、結局極性の違いが出ちゃうんだもんねー」

で、百聞は一聴にしかず・・・彼女も興味深々みたいでした。

「本当だ、こっちのほうがいいですね」
「ほー、立派だな・・・違いがわかるんだ」
「電源コンセントは試すしかないので、いろいろやってみましょう。コンセントは取る位置ですべて音が違います。この製品なら、かならずその違いは出るでしょう」

コンセント毎の音の違いに驚いてもらいました。
率直なところ、わかってもらえるのが、うれしいですね。
また、QUALIA 007がある水準を超える作りである事を示してもいます。
続いて、スピーカの位置を直しました。スピーカーを左右/背後の壁から距離を取りました。そして、試聴用の席を後ろへ、だいたい、部屋全体の2/5〜1/3くらいの位置にずらし、試聴位置を定在波の集中する中心から外し、左右に吸音材が来る位置にしました。

「あの、失礼ですが、開発された皆さんは、はじめにこう設置しませんでしたか?」「はい、確かにそうだったと思います。床にあるテープの位置が、この辺りだったという記憶でつけたテープなんです。でも、今おかれているほうが、もっと前ですね」
「この位置でないと、壁に設置されている吸音材が機能しないですし、聴く位置ももっと後ろだったはずです。この部屋はよく設計されていますけど、設置できる場所は限られます。室内で、部屋の位置には定石があるんです。前後の位置で1/3、上下の位置も1/3だから、座って聴かないと音はよくわからないんですよ」
「え、そういうお話も初めて伺います」

彼女は、一生懸命メモを取っています。率直なところ、立派です。
だいたい、私がイレギュラーなのであり、それに対応できるのは凄いことです。

「よかったら、ここで聴いてみてください」

と、私が示したリスニングポイントで聴くことを勧めました。

「はい・・・あの、立場が違いますけど、聴かせていただきます・・・あ、ずっと低音が聞こえる」
「でしょう・・。聴く位置で定在波による影響を避けることができます。ところで、このスピーカーをデモするには、この部屋は狭すぎるようですね。左右の音の反射のために、音が損なわれ過ぎているようです」
「そうなんです、このスピーカーはリビングでの再生を前提に開発されていまして・・・お解かりになるんですね」
「素直な子だな、本当に立派だ・・・SONYには人材がいるな・・・QUALIAという名を冠しただけあって、人も選んだんだろうか・・・SONYの、社会に対して開かれた良心として、立場を果たせるだろうな・・・」
「聴けばわかります・・・デモをするって大変ですねー」

本当は、このスピーカーのように高域を広範囲に再生するタイプであると、壁反射が致命的なトラブルを生むので部屋は横方向に使う、つまり長辺側にシステムを設置するのが定石なんですけど、それは言わないでいました。きっと、部屋の設計者と、スピーカの設計者が没交渉で、情報交換に問題があったのでしょう。そうした、大企業的な問題点を指摘しても、意味は無いと思いました。
こんな調子で、いろいろと手入れてみたのですが、どうも、しっくり来ませんでした。
一番気になったのは、音のバランス以前の問題で、音が立たないことでした。
音が立つ・・・というのは、再生の時の一番初めにクリアしないといけない指標で、ボーカルの声がスピーカの位置に関係なく、立っている位置から聞こえるように「錯覚」することです。音が立つ、という再生をしているときに、システムは室内反射音を含めて、オーバーオールで正しい位相と周波数特性を達成しています。
その指標に到達しないというのは、なかなか体験できないトラブルです・・・私にとってですが・・・。そうなる理由があるとすると、2つしか原因は思いつきません。
ひとつは、再生に使用しているスピーカーケーブルや電源ケーブルに問題があるということ・・・
もうひとつは、製品のトーンカラーが強すぎて、音が立ちようがない場合です。
で、よく見ると、QUALIA 007の電源ケーブルに、ノイズフィルターが付いています。

「フィルターは、いい機械にとっては、悪い結果をもたらすんですよ・・・あ、これ、取れますね・・・取ってもいいですか」
「はい・・・あの、ノイズフィルターは電源のノイズを防ぐものではないんですか?」
「あらゆる機械は、自身でノイズを出します。で、自身のノイズが外部からのノイズよりも大きいときは、ノイズフィルターを使うと自身のノイズのために、よけい音がダメになっちゃうんです。ですから、高級なオーディオ機器は、電源ケーブルにノイズフィルターを付けないのが標準です。」
「えー!そうなんですか!」
「外してみれば、すぐにわかりますよ」

外したら、音にあった高い音のカラーレーションが一気に収まりました。

「本当だ、こっちの方がずっといい」
「本当に良くわかる子だなー、立派ジャン」
「そうでしょう」

ところで、いろいろと手を入れても、音の質はかなり上質な印象を与えるくれるのですが、納得できないでいました。言うことを聞かない、タダッ子みたいなんです。出てきても良さそうな音が出てきません。高い音の干渉が激しすぎ、位相が合っていない、壊れたような音です。スピーカーが広範囲に高域を放射する構造になっているのに、部屋の左右が狭いからかもしれません。でも、スピーカーケーブルとか電源ケーブルでも似たような問題があることがあります。

「QUALIAはいかがでしょうか?」
「よくわからないんです・・・あの・・・電源ケーブルとスピーカーケーブルを、私の家のシステムから外して持ってくるので、それで試聴してもいいですか?」
「はい」
「信じられないなー、大メーカーとは思えない対応、立派じゃないか」
「じゃ、再予約させてください」

このあと、ヘッドホンもちょっと聞き、なんか違うなーと思ったので、ヘッドホン専用パワーアンプKRELL KSA-5と、長年使用しているヘッドホン AKG K1000も持ってくることにしました。
次の予約は、15:00から2時間でした。
率直なところ、私は、彼女の対応に合わせて、普通ではないことをしています。
普段なら、もう試聴は打ち切り、帰っていたと思います。だって、面倒ですから・・・。
しかし、真剣だった対応に合わせて、ちょっと真面目な気持ちになっていました。そのため、オーディオをする人にとっては普通な・・・しかし、そうでない人にとっては理解できないであろう、徹底したことをしようと思い始めていのでした。
なぜならば、オーディオの楽しさと深さを理解できそうな人に出会っているとも感じたからです。そうした時に、その楽しさを伝えることは、義務でもあります。SONYが、QUALIAのコンシェルジュとして選んだ人材は、あまりにも適切であり、私には無視できるものではありませんでした。人の出会いは、一期一会・・・そうした人に、伝わるものがあるのならば伝えよう・・・そう思うことは、人の道でもあると思うのでした。
そして、SONYのQUALIAというものについて、ひょっとすると、これは本当にクオリア(QUALIA)という言葉の意味に従って追求しているのではないかと感じ始めていました。
そうした意思が彼女に伝わらない限り、見せてくれているような対応は、会社の中で、できるはずがないと思えるのでした・・・だって、仕事で私に対応しているのですから・・・。

05 QUALIA東京にて・・・parT2

その足で、会社に寄りました。KRELL KSA-5とAKG K1000は青山の会社に置きっぱなしにしていたからです。それも、1年以上、置きっぱなしで、電源も入れていませんでした。ほったらかしだったのです。
それを回収して、自宅でメイン・システムからスピーカーケーブルを外し、電源ケーブルを外しました。持っていく機材は、大きな手提げで2つ・・・重さも結構あります。結局、予定の時間よりも30分も遅れてしまいしまいました。

「すいません、実は後に試聴のご予約が入りまして・・・1時間ほどしかご用意できません」
「大丈夫ですよ、それだけあれば。早速付け替えましょう、まず電源ケーブルから・・・」

持って行ったケーブル
JPS KAPTOVATOR
KIMBER BiForcal XL

木箱から出てきた電源ケーブルにコンシェルジュの人は目を丸くしていました。

「凄いですね・・・初めて見ます」
「jpsというメーカーのkaprOVAtorという電源ケーブです。このケーブルは、製品毎にシリアル番号が入っていますよ、カードがあるでしょ」
「わあ、凄い。メモを取らせてください」

電源ケーブルをいいものにしたら、だいぶ音がしっかりしました。
しかし、気になる高域の輪郭の弱さが解決しません。率直なところ、電源ケーブルは原因でないと思いました。
で、続けてスピーカーケーブルの交換です。

「あの、これがスピーカーケーブルですか?」
「そうです・・・同じメーカーですよ、そのケーブル(はじめに使用されていた4TC)と。このスピーカーケーブルは、このメーカーで上から二番目のものです。ここまでやっても、結果が得られないとすると、システムの問題だと思いますよ」

初めて見る人は、確かに驚くかもしれません。あまりにもケーブルが太いからです。私が持っていったKIMBER BiForcal XLは、バイワイヤリング専用スピーカー・ケーブルです。
私の感覚では、QUALIA 007とそのスピーカーには、設計の齟齬があると感じられました。
QUALIA側のスピーカー端子は1対しかないのに、スピーカーはバイ・ワイヤリングとして設計されていたからです。かなり奇異に感じましたが、そのため、手元にあったバイ・ワイヤリング専用スピーカーケーブル役立ちました。普通は、高級な機種の場合は、本体側にもバイ・ワイヤリング用に、片チャンネルあたりにスピーカー端子を2対用意します。
スピーカーケーブルを交換して出てきた音は、高域とのバランスが崩れていた中低域がしっかりとして再生され、音楽の体を成してきました。
ある一点を除いて、だいぶ良いものになりました。その一点とは、高域の定位感が発散してしまい、音が立たないことです。
率直なところ、まったく、いうことをきかないシステムです。このような反応の仕方は、ハイエンド機では考えられないことです。鳴らし込みに応えないのは、言い換えると完成度が高いわけですが、その安定しているレベルが、利用者の要求に合わないとしたら・・・私のようなフラストレーションになってしまうわけです。

「わー、凄い、あの、どうですか?」
「うーん、きっと、今までで、一番いい音を聴いているだろうしなー
しかし、否定するような素直なことは言いたくないど、仕方ないだろうなー」

「ダメですねー、いうことをきかない。こういう音のシステムなんでしょうねー」
「そうですか、残念です・・・」

ひょっとすると、部屋を横に使うとうまく再生できるかもしれませんが、時間がありません。
自宅で試聴しないということは、このように、問題解決を阻む要素が多すぎます。
やはり、ショールームでの試聴は、難しいですねー。
続いて、ヘッドホンの試聴をしようと、KRELL KSA-5の組み立てをはじめました。

「なんですか、これは・・・初めて見ます」
「これはKRELLというメーカーがミュージシャンの希望に応えて開発した、ヘッドホン専用パワーアンプです。スタジオなんかに設置されています。日本には正式輸入されていないので、何台も日本にはないと思います。これで聴けば、QUALIA 010の性格がわかると思います」
「楽しみです」

組み立てて接続が終わるまでの間に、おそらく、今までの中では最高水準の音になっているQUALIA 007を聴いてもらっていました。音は、体験ですから、聴いて覚えることが大切です。コンシェルジュの人も、二度と聴けないかもしれないと思ってくれて、一生懸命聴いていました。
組み立ててから、気付きました・・・QUALIA 007には、アナログ出力がないのでした・・・(^^;
私は、アナログ入力端子を、アナログ出力端子と勘違いしていました・・・これだけクローズに設計されてしまうと・・・どうしたらいいんだろう・・・・。

持って行ったヘッドホン
AKG K1000

そこで、QUALIA 007のスピーカー端子に、AKG K1000をつなげることにしました。
QUALIA 010、つまりQUALIAのヘッドホンは、すでに聴いていました。
比較するのは、簡単です。
率直なところ、この時のakg K1000の音には、感心しました。KRELL KSA-5と比較していないので判らない点がありますが、なかかないける音でした。そして、率直なところ、QUALIA 010よりも、楽しめる、音楽らしい音でした。
QUALIA 007、QUALIA 010には、共通した問題を感じました。
100KHzまでの再生を目指したときに、その意味を、勘違いしていることです。
つまり、100KHzまで再生できるからといって、音楽の感動が、つまり、クオリア(QUALIA)が伝わるという、理由にはならないということです。私が使用していたアルバムも、機器も、20KHzまでしか信号は取り扱っていません。それでも、機器はいろいろなことから音を変え、感動を伝えようとします。その点が、うまく押さえられていないのでした。つまり、主観的な音に対する感動というものと、100KHzまで再生できるという技術的/客観的な話題は、本質的には深い関係はないことであるのに、話題をすり替えてしまって、深い関係があると誤解しているのでした。まあ、本当は誤解していなくて、仕様を満足させるためにここまでしか出来なかったのかもしれませんけど・・・。
主観と客観の話題のすり替えこそ、現代の最大の過ちです。
それが、まだ開発されている機器に内在されている・・・そんな印象が、拭えないのでした。
高い周波数だけでいえば、東レの超音波歯ブラシは1.6MHzの音波だそうです・・・QUALIA 007や010の目指す周波数の、実に16倍・・・口内菌の連鎖を断ち切るそうです。まあ、そんな電波のような周波数の音波は、どのように確認したのか知りませんが・・・(^^;・・・私は、愛用しています。
聴いて、遥かにいい、と感じられたときにだけ、100KHzまでの再生の意味が伝わるわけです。
ですから、音の設計について、見直してもらいたいですねー。

かるばどすのオーディオ豆知識
一体型は技術の必然・・・でも、オーディオの必然ではない・・・

QUALIA 007は、デジタルパワーアンプとSACDトランスポートが一体となっている製品です。これは、技術の観点では、必然的な帰結です。なぜならば、CDや(特に)SACDは、再生のアナログ部分(QUALIA007であれば、スピーカー駆動部分)は、トランスポートとマスタークロックが同一であることが理想だからです。
これが、SONY,LinnやKRELLがかつてはトランスポートとDAコンバーターを別な製品としていたのを、現在では止めて、一体型が最高機種となった技術的な背景です。そうした形態でないと、最高の音質の達成は困難なのでした。そうした背景がありますので、私が使用しているデジタルパワーアンプTacT2150などは、次善のものであり、最善ではありません。
では、そうした視点に基づく技術的な必然性は、音楽再生という観点では正しいのでしょうか・・・これには、もっとたくさんの視点が必要です。
つまり、音楽再生全体で考える必要があるわけです。たとえば、スピーカーとパワーアンプの関係を考えるとどうでしょうか・・・。これも、本来は一体の方が理想です。正確にスピーカーを駆動できるからです。では、その考えをすでに説明したことと組み合わせて、トランスポートからスピーカーまで一体になるとどうなるでしょうか・・・スピーカーのように振動するものと、CDトランスポートのように振動を嫌うものが一体になるというのは、噴飯ものです。よく考えてみれば、この例を物理的な振動を理由として噴飯ものというのであれば、QUALIA 007もスピーカーを駆動するような強力なパワーアンプとCDトランスポートが同じ機械に入ってると、電源回路そのものからの影響を避けることが難しく、見方によっては、やはり問題が多い構造かもしれないですね。ひょっとすると、私が最後まで納得できなかった音の原因は、そこにあるのかもしれません。経験的に、音が立たないときの原因は、電源にあるからです。
また、別な視点ですが、CDトランスポートと一体となっているパワーアンプそのものの質が問われたときはどうなるでしょうか・・・。パワーアンプそのものの交換は、トランスポート込みでの交換となります。あまりにも不合理です。
つまり、あるひとつの視点から正しいとしても、他の視点からすると、それは正しくないということになります。このようなことは、私たちの日常ですが、技術者はこの点を見失うくらい、視野狭窄になる場合があります。そのため、「こうして開発したのだから、いいはず」と信じるばかりで、製品そのものの評価は、立場が違うと思わしくないということは、日常茶飯事です。
この問題の解決は、どうしたらよいのでしょうか・・・
それは、人の感性が全体のバランスを判断しなければならないのです。
これは、音作りというものだけではありません。全体のバランスを、卓越した個性が評価して、定めることが求められます。ですから、ハイエンド製品といわれるものは、設計者/開発者の強い個性が表現された、工芸品としての性格が強くなります。つまり、クオリア(QUALIA)がすべての核になるわけですね。

技術は、すべてを統べることができない・・・
人の感性だけが、すべてを統べる
それが、オーディオの現実なのです

06 QUALIA東京にて・・・part3

続いて、一番楽しみにしていたMDを聴くことになりました。
これは、受付で聴くことができます。
接続していたケーブルなどを手際よくまとめて、部屋を移動しました。

「どんな風なご評価をいただけるか、楽しみです」
「私も楽しみです」

SONY QUALIA
QUALIA 017
月産15台というMD

QUALIA 017は、宝石のように、フエルト張りの木のテーブルで運ばれてきました。見た目は、美しいですねー。日本のメーカーの製品としては、立派なものです。
で、手にとってみました。
ずっしり・・・・

「お、重い・・・」
「今までにないMDを提案しようと開発されました。オブジェのように美しい曲線でしょう」
「そ、それはそうですけど、重い・・・」
「どうやって開けると思いますか?」
「わかんないですねー、どうやるんですか?」
「この横の突起をちょっとずらして開けるんです」
「ふーん」
「お持ちの方にしかわからない満足感があります」
「そういうもんかなー・・・しかし、重たいし、手で持つだけで、手の脂がわかるような鏡面仕上げだなー」
「どんな利用形態を想定して開発したものなんでしょうか・・・」
「美しいので置いたまま楽しめます」
「そりゃそうでしょうけど、MDですよね・・・」
「今までにないMDって、モバイルではないっていうことなの・・・(^^;」

音を聴いてみました。
音は、今まで聴いたMDの中では、ピカ一です。私が今まで使用していたSONY MZ-E10の電源を強化して、パーツを高級パーツに交換したような音です。これは、いいなーと思いましたが、20万近い価格と思うと、うーん、考慮を要する・・・と思いました。

B&O
Form 2
私の使用しているものは、
ケーブルをうんと短くしてあります

付属のヘッドホンは、SONYにしては珍しい、完全なインナーイヤー型です。遮音性が高い方式です。
音は、どうでしょう・・・比較して、私は、もって行ったB&O Form 2で聴くことにしました。
リモコンは、とてもよく出来ていましたが、やはり若干の音質劣化が感じられました。私は、音質劣化がいやなので、リモコンを使わない習慣があります。で、QUALIA 017も、そうして使おうと思いました。
立ち、gパンの尻ポケットに入れて、聴きながら歩いてみようと思いました。
尻ポケットに入れた感触は、私の財布よりも重いナーということでした。

「わー、財布よりも重い・・・(^^;」
「・・・(^^;」

で、その際に、本体のスイッチの突起がズボンに引っかかりやすく、誤動作してしまいます。

「あの、本体のホールドスイッチはどこですか?」

近くにいた、別のコンパニオンの人が、教えてくれました。

「本体内にあります」
「え・・・なんで・・・それじゃ、ホールドしたら本体でplayに出来ないじゃない・・・リモコンがないとこの機械、使えないじゃないか!」

実は、このとき、私の声に怒気がありました。製品が肩透かしな印象が強かったことに加えて、お昼を食べていなかったので、ちょっと気が荒くなっていたのです。きっと、皆さん、驚いたでしょう。ゴメンナサイ。

「急いでお調べいたします」

待つこと数分・・・回答は、本体のホールドスイッチを入れた状態では、リモコンなしで使用できない・・・ということでした・・・(^^;
不思議なんですけど、リモコンにも、ホールドスイッチがあります・・・ですから、本体内のホールドスイッチというのが、目的がよくわかりません。きっと、持ち運ぶときに誤動作を防ぐためのものなのでしょう・・・というか、本体を動作不能にするためのものなのでしょう。
困ってしまいました・・・買う気一杯で行っていたのですけど・・・。
で、素晴らしい点について、さらに説明してくれました。

「この写真をご覧ください、QUALIA 017を削り出すために出来る真鍮を削ったものです。所有する素晴らしさを感じていただけると思います」
「私が使用しているCDプレーヤーのケースは、巨大なアルミブロックから二日間かけて削りだしたものです。そうした加工は、高級な機械であれば、別に不思議ではありません。WADIAでもどこでも、しています。なんで加工がしやすい真鍮なんでしょうか?。軽いマグネシウムとかなんだとわかるんですけど・・・(と、言いながら、マグネシウムなんて旋盤で加工できるのかなーと思いましたけど・・・)
「そういうものなんですか」
「ええ」

私は、QUALIA 017について、購入を断念しました・・・。
私の欲しいのは、音楽を聴くために徹底した装置だからです。
私にとって、所有する満足感は、そこから再生される音楽の質で決まることであり、製品に自分の名前が刻印されることよりも大切なのでした。

07 自分も、技術の話題の呪縛に捕われていた。・

家に帰ってから、やはりQUALIA 017は、今までのMDよりもいける音がするわけですから、捨てがたいナーという気持ちがありました。
で、ちょっと考えてみました。

「300g近い重さは支障だろうか」

私の答えは、支障ではないということでした。
実は、ここ数ヶ月、いつもOLIMPUS E-1とIBM T41というパソコンを持ち歩いています。バッグの重さは、場合によっては10Kgくらい・・・でも、最近鍛えているので、平気でした。重さは、本質的な支障はないと思いました。で、別なことにも気付きました。

「あの音は、明らかに高級パーツと強力な電源の音だけど、やはり練られた音じゃないなー。なにか、音が練られた製品はないものだろうか・・・」

ここにも、QUALIA 007やQUALIA 010と同様な印象があったのです。

「そういえば、B&Oは出してるけど、WMAだしなー」

B&O BeoSound2
PCに接続している充電/接続ベースに
設置している状態
照明の関係でちょっと色がついてます
使用している状態
帝国ホテル ブラッセリーにて
クローム仕上げは周りに溶け込むんですよね

WMAとはデジタル信号の形式のことです。他にはMP3とかもあります。で、私は、SONYのATRACの方が好きなのでした・・・しかし、気付きました。
オーディオなのだから、原理、方式よりも大切なものがある・・・
それは、音楽を伝えるという目的に、どれだけ努力して、製品を実現したかだ・・・。
で、私自身も、つまりらない呪縛にしたがっていたことに気付きました。
オーディオ的によく検討されているなら、方式に関係なく試す方が賢い・・・今日一日の体験から、自らも学ぶことになりました。
その翌日、私は新宿イセタンに行き、B&O BeoSound 2を試聴し、気に入りました。
すでに3年も前からある製品ですが、よく検討された音であったのです。バッテリーだってもたないし、PCのソフトは使い方がへんてこで、データフォーマットは旧仕様のまま・・・問題を起こさない使い方を納得するのに時間がかかりました。その上、この機械はWindows Media Playerでデータを書き出すことも出来ない・・・そんな風に問題点は多いですが、音が楽しめるものでした。その一点において、BeoSound 2は応える力がありました。
そして、新しいモバイルは、長らく利用してきたATRACを使用しているMDではなく、WMAを利用したBeoSound2となったのでした。
余談ですが、なんでデパートに行ったのかというと、簡単です・・・。B&Oは値引きがないのですが、イセタンではアイカードを使用すると割引になります。
といいながら、お店にアイカードを持っていくことを忘れていました・・・(^^;

「あはは、アイカード忘れちゃった・・・」
「お持ちになるまでお待ちしましょうか?」
「いーです・・・面倒くさいから・・・(^^;」
「実は、これは特価でお出しできます。今度、価格改定になる予定で、本体+ヘッドホンが7万円、SDカードが1万円となる予定です。ですから、両方セットの本機は8万円で販売させていただきます」
「あ、結局、得しちゃった・・・(^^)・・・もともと10万近いものなのに・・・」

08 いつの日にか、SONYのQUALIAは、手許に届くことになるのではないかなー

結局、今回はSONYのQUALIAという製品は、私の選択するものにはなりませんでした。
しかし、SONYの中核にいる人には、わかっているのではないかと、感じました。
それは、クオリア(QUALIA)の大切さです。
そうでなければ、受託生産の製品などを作るはずはないし、QUALIA東京のスタッフが、ああした立派な態度を取れるはずはないのでした。

担当してくれた人以外は、ちょっと大企業っぽさが残ってたけど・・・(^^;
仕方ないですよねー、現実に、世界に冠たる大企業なんだから・・・

たしかに、現在において、技術に偏らないで、質とのバランスを実現した製品を作る力はまだないと思います。でも、それを目指す意思と、それを支える人材がいて、継続した努力があれば、将来おいて、必ず達成できるのではないでしょうか。
QUALIAのリーダーや開発スタッフも、頻繁にQUALIA東京などを訪れるそうです。
それは、失われた顧客との絆を、もう一度結ぼうという意思の現れでしょう。現代の大メーカーは、顧客と完全に切れてしまっており、製品開発そのものの方向が、糸の切れた凧のような側面があります。QUALIAの販売やサポートをSONYの力でなそうというのは、そうした問題に対する反省の表れでもあるのでしょう。
客観的な方針と、大量生産だけでは、もはや成立し得ない現代の製品のあり方、それに気付き、新しい心を製品に与えようとしている、それがSONYが考えているQUALIAムーブメントであると、私は感じました。
繰り返しになりますが、クオリア(QUALIA)という言葉は、ものの名前ではありません・・・それは、内的なもの、質そのもののことです。
製品は、その質の進化とともに、その進化すればいいのです。今ある製品としてのQUALIAシリーズは、届ける人たちの心の影です。ですから、そうした製品の進化は、その質の進化とともに達成されなければなりません。
そうした進歩が、着実に進むとき・・・・
いつ日か、SONYのQUALIAと名づけられた製品を、私が選ぶ日があるのではないか・・・
そんなことを感じた数日でした。


SONY QUALIA東京にて
確かな指針と、それを理解して、心から支えられる人たちがいるのだから
将来において、SONYのQUALIAは、本来の意味で成功するのではないでしょうか・・・
それは、経済的な成功ではなく、質の高さという本質的な成功のことです・・・


第17章
ゲシュタルト崩壊の新オーディオ・フォーマット



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