01 レンダリングは面白い

コンピューター・グラフィクス(CG)は、いろいろな技術分野の集合です。
コンピュータを使えば、なんでもCGなんですが、画像処理等をPhotoshopで行ってもそれはCGなのかというと、まあ、今ではレタッチというわけですし、漫画なんかもClip Studioなんかで書くことが多いわけで、そんなこんなも全部CGだというと、話になりません…(^^;
今では、コンピューターは紙やペンと同じものに過ぎないわけで、コンピューターを使えばCGだという話は、ここではしないようにしましょう。

とはいえ、絵の処理をどうするかは、実は大切な話題ですので、CGのお話をしてから、改めてご説明します。
実は、「CGの専門家」といっても、ポスト処理といわれる、絵の取り扱いは結構ぞんざいというか、知らない人も多く、HDR出力ができるにもかかわらず、HDRの適切な処理を知らない人が、ほとんどです。開発者ですら、知らないことがあるので、PoserというソフトウエアのHDR出力をどのように処理したらいいかという話題を投げかけたときに、そうした技術分野があることを知らなかったので、私もびっくりしてしまいました。現在のCGソフトウエアは、内部的にはHDRのダイナミックレンジでレンダリングしていますので、とても大切な話題です。

本題に戻りますが、これからご説明するCGは、いわゆる3DCG/三次元コンピューターグラフィクスです。

3DCGは、技術的には、2種類の系譜があります。ポリゴンという平面を組み合わせて絵を作り出す方式と、ボクセルという小さな立方体を組み合わせて絵をつく出す方式の2種類があります。

VoxcelSample
ボクセル/Voxcelの3D CGの例
解像度が低くても、ボクセル数が多いので実は処理はとても大変
ボクセルベースのゲームも、結構作られていますが、本格的な処理は専用ハードウェアを利用する場合も多いです。
ポリゴン/Polygonの3D CG例

ポリゴンを利用する技術は、主に映画と軍事/航空宇宙技術とかのために発達したもので、いわゆる「実物っぽい、または、自由な絵」を作るために発達したものです。ボクセルを利用する技術は、空間的なものを取り扱う科学的分野で良く利用される技術ですが、すべてのデータを立体で取り扱うため情報量が3乗になってしまうので、ポリゴンを利用する技術よりもかなり重たく、「実物っぽい、または、自由な絵」を作るには、ちょっと向かない技術です。でも、立体を取り扱うのには最適で、よく話題になる3Dプリンタは、ボクセルでデータを取り扱います。

どちらの技術も、3Dモデルといわれる、「物」を記述した3Dのデータを用意して、それを入力として、「絵」に変換します。

アニメーションや映画で大活躍している3DCGですが、作り方は絵を続けて作り、組み合わせてMP4など再生に適したフォーマットにまとめることだけですので、絵を描くことに変わりはありません。

このような動きをつける場合に、モーションデータという、実際に動いているものから動作をデータ化したものを加えると、このようにリアルに見えるようになります。このような短い動画でも221枚の絵を使用しますので、作成には結構時間がかかります。この例の場合では、11時間を必要としました。映画等では、高速にリアルっぽくレンダリングする技術が使われます。

3DCGの技術全体の体系は、結構規模が大きく、数多くの技術が組み合わされています。以下に全体像を示します。結構、ステップが多いんですよね…でも、ほとんどの出力は、画面か3Dプリンタです。

CG Explain

説明は、要なところからいたします。
最も大切なのは、3Dデータと描画です。これらがあれば、絵をかいたり、立体を作り出したりできるからです。また、3Dのデータをうまく利用するための「操作」を行えることも、とても役立ちます。そして、いかに3Dデータを繰るのか、という話題も大切です。3Dのデータは、自分で作らなくても、人が作ったものを購入することができます。

とはいえ、職業として見ると、一番「稼げる」のはモデリング…つまり3Dデータを作る作業です。なにしろ、時間がかかりますし、センスも知識も必要です。工数がすごく集約される部分ですから、お金が稼げるのは当然な部分です。ですから、3DCGを勉強する場合は、モデリングが最も大切…と教わるでしょう。また、同様にセンスが必要なのは、3Dデータに組み込むテクスチャといわれる「絵」です。実際のところ、3Dモデルだけでは詳細なデータを作ることができませんので、「絵/2D」を利用して表面の凸凹を作る、バンプマップとかノーマルマップを使用しまし、透明とか半透明な部分を指定する、トランスペアレントマップとかも使います。このようなデータもテクスチャです。実のところ、ひとりですべてが得意という人はいないようで、かなり得手不得手があります。

つまり、3Dの処理というのは、ひとりで全部するのは、あまり適していないというか、そんな万能な人はあまりいないということかもしれません。

3Dデータ

いろいろな形式がソフトウェアによりあります。汎用でデータを交換するためのCOLLADA形式などもありますが、通常はモデリングツールや描画ツールの形式の場合が多いです。具体的にはMayaの.ma .mb、3ds Maxの .3ds、汎用(というか、仕様を作った会社はもうないのですが…)の.objとかです。多くのCGソフトウェアは、相互に他の形式を読めるようにもなっていますが、完全に読み出すことができない場合もあります。

多くの場合、手で作ることが多く、3Dモデリングツールを使用します。日本では、総合的なソフトウェアを使用することが多いので、Mayaや3ds Maxがよく使われています。他に、モデリング専用のHexagon, 六角大王などがありますし、安価や無料の統合型ソフトウェアである、CarraraとかBlenderもあります。お仕事でされるなら、日本ではMayaや3D Maxが良いと思いますが、高価なソフトウェアですので、趣味でしたら他の選択肢もよいと思います。

3Dデータは、再利用が簡単なので、購入することもできます。
ちなみに、私は根気よくモデリングする気がないので…(^^;…3Dのデータは購入することがほとんどです。購入したデータは、結構長い間使えますので、たまってくると面白いです。私のところでは、購入したデータのサイズが1Tbyteぐらいあります。

MMOS-Mini-D_setForV4EliteA4MMOS-Mini-D_setForV4EliteA4
Renderosity MMOS-Mini-D_setForV4EliteA4
日本のデザイナーさんmamotaさんの作品(ドレス)です
3Dモデルとテクスチャのセットで販売されています
Renderosity Swagger for Mini-D by JudibugDesigns
左の作品のテクスチャーのみの作品です。
3Dモデルは左の作品のものを使用して、このテクスチャを組み合わせて使用します

3Dモデリングツール

3Dデータのところで説明していますが、いろいろなモデリングツールがあります。統合型で高価なMaya, 3ds Maxはもちろんのこと、低価格のCarrara、Hexgon, 六角大王、無料のBlenderなど様々なソフトウェアがあり、実は3DCGソフトウェアの代名詞的な印象があります。また、ZBurshなど、スカルプト(彫刻すること)といわれる使い方のモデリングツールも広く使われています。

3Dデータのほとんどは、モデリングツールとペアで話題にすることが実際は多いのですが、実は本質的に重要な話題ではありません。ですから、使いやすいモデリングツールを使われるのが大切で、多くの3Dモデルを作る人たち(モデラーといいます)は、様々なツールを組み合わせて使用しています。

組み合わせ・操作

3Dデータは、再利用しやすいとご説明しましたが、それを生かすためには、モデリングとは異なる、かなり専用の機能が必要です。 例えば、人の3Dモデルを利用しようとすると、手の指だけでも3か所の関節があるものが10本もありますし、手そのものも3か所以上の関節があります。顔なんかは、数多くの筋肉があるわけで、それを動かさないと表情が作れません。指定しないといけない情報がものすごく多くあり、それらをすべて適切に指定するのは、かなり大変です。ですから、モデリングする機能のような基本的なものではなく、もっと目的に合わせて、統合された様々な指定を設定しやすい、また、自動的に設定してくれる、使いやすい機能がツールとして必要です。

また、森などを3Dで表現する場合は、少数の木の3Dデータから、それらを変化させて複製することで、森を作り出したりできると便利(こういう機能をエコシステムとか言います)ですし、大気の状態を作り出すために、大気のシミュレーションができると便利です。このような機能なんかも、モデリングとは違いますが、3Dデータを利用するためにはとても大切なので、「組み合わせ・操作」として別に説明するようにしました。もちろん、統合型であるMayaや3ds Maxはこうした機能も持っていますが、より使いやすく、しかも安く作られているVue、iClone、Poser、無料のDaz Studioもあります。

Vueは、風景や環境に特化していますし、iCloneは人のアニメーションに特化しています。Poserは昔からある人のモデル操作に合わせたものですし(Vueと組み合わせて使用することもできます)、最近人気のDAZ StudioはDAZが作っているモデルに特化しているPoserのようなソフトウェアで、しかも、無料です。
そうした機能を利用している例として、Vueで作成した絵を以下に示します。この絵、すべて3DCGなのですが、とてもそう思えませんでしょ…森はVueのEco System、大気や雲はVueの大気シミュレーションで書かれています。

Vue Sample

描画

ほとんどのソフトウェアは、描画する機能を内蔵していますので、実のところ、なにを使ってもなんらかの絵を描けますが、どんな絵が描けるかは、描画するソフトウェア、「レンダラー」によりかなりの違いがあります。ですから、Mayaや3ds Maxに限らず、ほとんどのソフトウェアに、内蔵ではなく使える別なレンダラーが各社から提供されており、使う人の好みで使い分けています。

描画と書きましたが、実態は光と物体の存在と、それを撮影するカメラの動作や機能をコンピューターで実現しているもので、実際のところカメラによる「撮影」と同じことです。つまり、3Dのデータを撮影して、絵を作り出します。ですから、カメラによって絵が違うように、レンダラーにより絵が違います。

レンダラーは、大きく分けると、ノン・バイアス型と、バイアス型に分類できます。

ノン・バイアス型は、自然界の光の取り扱いと可能な限り同じように処理して絵を作り出す方式です。コンピューターの性能が高くなった今日では、ノンバイアス型が主流です。特に、GDPという多数の専用プロセッサを内蔵したビデオボード使用すると、高速な演算ができるので、ノンバイアス型はGDPを使用する方式が主流です。

バイアス型は、ノンバイアス型の処理が難しかった時代の方式で、目的の絵を得るためにいろいろと工夫していた時代の方式です。だからといって、低容量のコンピューターで実行できるとか、書く速度が速いかとかいうと、そういうわけでもないのが困った点です。とはいえ、コツをつかむとなかなか書けないような絵を作り出すことができます。また、いわゆるアニメ的な絵は、バイアス型レンダラでないと書けません。逆に、複雑な造形の場合や、カメラの設定によっては、ノンバイアス型は簡単に書けるのに、バイアス型はいつまでも処理が終わらないとか、ソフトウェアの癖を理解しないといけない点があります。

ノンバイアス型のレンダリングが自由にできるようになったおかげで、カメラで撮影する際の使用するようなライティングを3DCGで自由に使用することができるようになりました。その結果、かなりリアルっぽい絵を簡単に作れるようになってきています。ありがたいことです。

Vue Sample
ノンバイアス系レンダラである Octane Render 3.06.02でレンダリングしました。
このタイプの絵は、バイアス系レンダラではかなり微調整が必要です。

モーションツールとモーションデータ

これらの機能も、オプションとしてもMayaや3 ds Maxでもありますし、PoserなんかもMicrosoft KINECTを利用して情報を取得することで実現できるようになっています。ただ、モーションデータは人の動きなどから取得するため、それなりの「場所」や設備があった方が便利です。そして、そんな場合は専用ツールがいろいろとあります。FBX形式のように、モーションデータを汎用にしたものもあるので、モーションデータを作り売っているものもあります。

組み合わせ/操作で、これらのモーションデータを利用すると、一連の動作を「リアル」に動かすことができます。

アニメーションは、フレームと呼ぶ絵の単位を1秒間で30枚(NTSC形式)とか24枚(PAL形式)表示することで実現しますカッコ内のNTSCとかPALというのは、TVの方式のことで、NTSCは日本やアメリカ、PALはヨーロッパの、昔の方式です。この速度で絵を切り替えると、錯覚で動きを人は感じます。フレームを表示する速度は、フレームレートといい、fps(frame per second)と書きますので、30fpsとか24fpsでアニメを作るわけです。ゲームなどでは、90fpsとか120fpsの場合があります。これは、30fpsで見ていても、動きが「錯覚」で動いて見えるだけで、スムーズに動くわけではないからです。

すべてのフレームに異なる絵を用意すると「フル・アニメーション」、3枚おきとか2枚おきに間引きして用意する「リミッテド・アニメーション」という、アニメーションの分類があります。作画枚数を減らすための用語ですが、これはTVのようにフレームレートが固定の場合の用語であり、CGで作るアニメーションでしたら、fpsの設定を10fps/8fpsにすることが3枚おきの、15fps/12fpsにすることが2枚おきのリミッテドアニメーションのことです。

先にご紹介した動画のサンプルは、フルアニメで30fpsのものです。再掲いたします。

機能が多いから、通り一遍では実はわからない3DCG

ごちゃごちゃと3DCGの関連技術をご説明してきたのは、Photoshopで絵を描くというような特定のものではなく、実は広大な技術分野にあることをご説明するためでした。

たとえば、描画と簡単に書いた部分だけでも、実は「カメラによる写真撮影」や「照明技術」をすべて理解していないと使いこなせません。3DCGのカメラワークとは、実は、実際のカメラワークと、ほとんど変わらないものだからです。写真撮影の本だけで、膨大に出版されていますが、CGの本を開くと「志あれば写真撮影の技術を参考にしよう!」、という程度しか書いてありません。その結果、CGの絵って、かなり初歩的な構図とか、照明にとどまっているものが多く、せっかく素晴らしい技術を手元にしながら使いこなせていないものが、とても多くあります。

実際のところ、3DCGのシーンを作り、カメラワークと照明を設定し、動画や静止画を作るという作業は、カメラマンや映画監督と同じです。3Dデータのモデリングこそ、実は、一分野であり、最終形である絵や動画を作ることこそ、本道です。とはいえ、3DCGを教える側からすると、それを仕事にしたらモデリングが多くの仕事ですので、そうしたことを中心に教えたいというのも、そりゃそうだろうなと思います。

で、当コンテンツでは、お仕事なんか関係なしに楽しんでいる私の視点から、世の中で足りない部分の情報やノウハウをご説明しようと思います。で、面白い話題ですが、写真撮影でも役立つ話題が多くなります。繰り返しになりますが、3DCGのカメラワークや照明と、現実世界のカメラワークと照明には、似た点が多々あります…なにしろ、3DCGのカメラ機能や照明機能は、現実世界をモデルに作られているからです。

現実世界よりも面白い3DCG

似たようなものだとしたら、写真を撮りゃいいじゃんと思われる方もいらっしゃると思いますが、3DCGは現実世界よりもとても有利な点があります。 それは、「映像の権利」を自分に担保している点です。写真であれば、撮影しても、それを公開するためには、撮影対象の権利者から「許諾」を受けることが前提となります。しかも、この許諾は、時間とともに変化する場合もあり、今はOKでも、将来はダメになる場合があります。率直なところ、写真の中で「人」が写ったり、「人の創作物」が写る場合は、避けがたい点があります。だって、それがないと絵として成立しない場合が多いからです。ですから、写真での映り込みの許諾は、避けがたいものです。

でも、3DCGは、3Dデータを購入していても、作り出した映像は作った人のものであり、すべての権利を有しています。ですから、そうした許諾の話題は、とてもシンプルになります(3Dデータを購入した場合は、商用利用か否かについて条件が付く場合があります。また、ゲーム等で3Dデータの再利用することが契約で認められる場合もあります)。

本音のところ、写真撮影よりも、3DCGの方が面白いなーと思います。私はLEICAなんかを使っていたのですが、今ではカメラを使う時間があれば、CGを作っています…(^^;;

また、私は本職はコンピューター屋さんで、カメラも趣味ですので、IT技術的な視点からも、カメラマン的な視点からも解説できますので、いろいろな話題をご説明できるかと思います。

レンダリングは、写真とか映画の製作と同じような楽しさがあります。
とても面白いんです…(^^)v

ついでに、あまり知られていない商用3Dモデルマーケットとか、レンダリング専用ソフトの世界もご紹介します

すでにご説明したように、日本の3DCGの学校とかプロの世界では、モデリング中心で、Mayaや3ds Maxなんかを教えています。ですから、商用モデルの世界とか、レンダリング専用のソフトの世界を、あんまり知らないみたいです。実は、欧米では結構楽しんでいる人たちも多くいます。ゲーム開発なんかで普及しているUnityをやると、Unityのモデルを売買しているマーケットを使うことが多くなると思いますが、そうしたやり方は、だいぶ前から3DCGの商用モデルの世界では成立していて、3Dの世界では、当たり前です。言い換えると、モデリングするということそのものが、お仕事に関係なく利用している世界を含めると、実はマイナーな分野です。とはいえ、そうした商用の3Dモデルの世界で、日本人は結構活躍していました…ちょっと過去形ですが…。

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